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目次

新しいセンターに向けて           千葉大学総合メディア基盤センター長 伊勢崎 修弘


 千葉大学総合メディア基盤センター(以後センターと略す)が2001年(平成13年)4月に発足して5年が経とうとしています。40年の歴史を持つセンターもIT(Information Technology)の発展・進歩とともに,大学の中での役割を変えてきました。 計算機センター,あるいは情報処理センターと呼ばれていた時代に,センターに設置されていた計算機は,現在研究室にある,あるいは個人で持っている計算機(WS,PC等,以後PCと呼ぶ)よりも性能がはるかに劣っていましたが,PCが流通する以前は,殆ど全ての学生,教職員がセンターの計算機を使っていました。 そのうちPCがセンターの計算機と同等あるいはそれ以上の性能を持ってくるようになると,センターの計算機ユーザが激減し,PCをはるかに凌ぐ性能を持つ計算機の導入がセンターに要求されるようになりました。 現在センターに設置されている計算機(高速演算サーバ)は,1〜2年前ではスーパーコンピュータの範疇に入っていた,高性能の計算機(High Performance Computer)です。センターの役割は,研究と教育に必要な大学全体の情報環境基盤システム(以後基盤システムと略す)の維持・管理です。 基盤システムには,上記高速演算サーバ以外に,ネットワークやメールシステム等も含まれています。基盤システムを支えるためにセンターには4つの研究部門があり,総勢9名の専任教員がそこに属しています。 研究部門での研究は,ITの進展に見合った基盤システムを予測し,基盤システムを常に千葉大ユーザにとって最適な状態に保つことを目的としています。
 近年,情報の保護に関する動きが急速に進んでいます。千葉大学でも個人情報に関するプライバシーポリシー,情報資産に関する情報セキュリティポリシーが策定され,情報の安全(セキュリティ)を図ろうとしています。 しかしどのように安全を確保するかの具体的な対応方法・手順は未完成です。まずは千葉大学全体に係わる対応・手順を策定し,その後に各部局特有の対応・手順を決めてゆく必要があります。この作業はかなり難しく,時間のかかるものと予想されますが,必ずやらなくてはならない作業です。 千葉大学が保有する情報は種類も量も莫大なものです。この情報の安全を確保する中枢には,当センターが関与せざるを得ないと認識しています。
 基盤システムを最適な状態に保ち,大学の情報資産の安全を確保するために,センターのサービス機能を明確に示す必要があります。一般的な教育・研究から,各部局特有の情報に係わる問題に対して,センターは随時対応しなくてはなりません。 このためにセンターは研究部門とならんで,サービス部門を明確化し,全学に生ずる情報に係わる問題解決の窓口にしようと考えています。千葉大学の教育・研究の発展に,センターが大きな責任を果たせるような,新しい仕組みを作ろうと努力しているところです。

講習会報告

高速演算サーバ利用講習会

 平成17年8月3(水)〜4日(木)の2日間,9月28(水)〜29日(木)の2日間,本学総合メディア基盤センター2階電算実習室において「高速演算サーバ(SR11000)利用講習会」が計2回開催されました。 SR11000は,それまでのSR8000に代わり,平成17年3月に学内共同利用高速演算サーバとして導入・運用されている並列計算機で,総演算性能は486.3GFROPS,総主メモリ256GBという,それまでのSR8000 の10倍以上の性能を誇っています。 本講習会,日立製作所に講師を依頼し,本学教職員・学生を対象としたもので,参加者は2日間で55名ほどになりました。
 講習の主な内容は,SR11000の特徴の紹介,SR8000とSR11000の違い,高速化とプログラミング・自動並列化・スカラチューニング・Cプログラミングの高速化・プログラム移行についての説明,アプリケーションプログラム(分子動力学計算)の高速化と効果の紹介,などでした。
 高速演算サーバについては,http://www.imit.chiba-u.jp/service/index.htmlに掲載しています。


統合メールシステム利用講習会

 平成17年9月21日(水)14時から,総合校舎A号棟3階演習室において「統合メールシステム講習会が開催されました。この講習会は平成17年3月から運用が開始されている新しい統合メールシステムの利用方法に関する講習会であり,本学総合メディア基盤センター全へい東教授を講師として,本学教職員を対象としたものです。 当日は約80名ほどの教員・事務職員が参加しました。
 本校集会を開催するに当たり,前もって参加希望者に対して,旧統合メールシステムの利用方法に関するアンケートが実施されました。統合メールシステムはメールソフトおよびWebブラウザのどちらでも利用できますが,アンケート結果により,Webブラウザで利用している参加者が多いことが見込まれていたので,Webブラウザに措ける操作方法を中心とした講習内容になりました。
 講師から説明が一通り終えた後,参加者はそれぞれ自分で好きなように操作し,新統合メールシステムで新たに導入された迷惑メールフィルタの学習機能などの設定や,統合メールシステムを携帯電話などで操作できるようにするための設定を試してみたりしていました。


教育・研究用システム アプリケーションプログラム講習会

 平成17年11月2日(水)および11月29・30日(火・水),総合メディア基盤センター2階,電算実習室2において「アプリケーションプログラム講習会」が開催されました。 この講習会は平成17年3月に更新された教育用システム端末上で利用可能なソフトウェアの利用方法に関するもので,当システムの積極的かつ円滑な利用の促進を図るため,日立製作所から講師を迎え,本学教職員および学生を対象として開催されました。
 講習会は二部構成となっており,午前(9:00〜12:00)の部は,計算ソフト「Mathematica」に関する利用講習会で,主に初心者向けの講習内容となっていて,午後(14:00〜17:00)の部は統計解析ソフト「SPSS(Statistical Package for Social Science)に関する講習会で, SPSSの操作方法に関する講習会となっていました。ソフトウェアのライセンス数の都合上,どちらの部も参加定員は25名というものでした。
▲伊勢崎センター長による挨拶と講習会の様子


情報関連授業担当教員説明会

 平成18年3月10日,本学総合校舎A号館情報処理演算室2において,「情報関連授業担当教員説明会」が開催されました。この説明会は,これまでの本学情報処理教育のあり方を認識し,今後(平成18年度以降)の方針を理解していただくため,主に情報処理科目担当教員, 専門の情報科目担当教員を対象として,情報教育専門部会と総合メディア基盤センターが共同開催したものです。説明会では,最初に情報教育専門部会・白澤浩委員長によるあいさつの後,総合メディア基盤センター全へい東教授により,
 ・情報処理関連の授業に関係する委員会等の構成
 ・総合メディア基盤センターおよび附属図書館に設置されている教育用端末システムの現状
 ・履修登録システムなどの学内情報システム
 ・附属図書館による普遍教育科目・情報処理の授業支援
 ・学生指導の現状
に関する説明がありました。
 さらに教科書編成委員会により執筆された普遍教育科目・情報処理のための新しい教科書が平成18年4月に発行されることを受け,情報教育専門部会・松元亮治委員により説明があり,また平成18年度の情報処理科目の時間割編成・再履修者の受入などについても解説されました。
 新しい教科書は,普段私たちが利用している電子メールやWWWなどのコミュニケーションツールとしてのコンピュータ・ネットワークおよびそのしくみ,情報を収集してから整理・加工・分析さらに提示するまでのプロセス, また情報に関する社会的・法律的・技術的な問題やそれでは解決できない倫理的な問題を,教科書編集委員会の各委員がまとめ,それらを集約したものです。説明会は約2時間にわたり,関係する科目の担当教員,図書館職員,科目のティーチングアシスタント(TA)など,合わせて50名が参加しました。

地域貢献

「数理科学コンクール」開催

 平成17年7月23日(土),本学西千葉キャンパス総合校舎において「第8回数理科学コンクール」が開催されました。本コンクールは,物理や数学のカリキュラムにとらわれない「物理や数学の本質に根ざした楽しさ」を発見できるような問題を提供することにより, 独創性に富んだ若者を発掘・育成するために,毎年開催されています。平成17年の第8回数理科学コンクールは,本学先進科学教育センターが主催,本学総合メディア基盤センターが企画することにより実施されました。
 参加者は地域の高校生・中学生を中心に約20名ほどで,参加者は参考書やノートを自由に持ち込み,自由に休憩を挟みながら,出された問題を6時間かけてじっくり考えていました。
 本コンクールでは,参加者の優秀な能力やユニークな発想も評価されるため,問題をたくさん解いた者だけでなく,1題に集中してすばらしい発送を出した者も評価されました。 授賞式は平成17年11月3日(木・祝),本学けやき会館にて開催され,金欅賞(2名),銀欅賞(2名,4グループ),学長賞(2名)がそれぞれ授与されました。また,古在豊樹本学学長と上野信雄本学先進科学研究教育センター長による祝辞のあと,本学総合メディア基盤センターの井宮淳教授および植田毅助教授による課題の解説が行われました。


「Science Partnership Program(SPP)」開催

 平成17年8月22日(月)〜23日(火)の2日間にわたって,県立千葉東高校および本学総合メディア基盤センター2階端末室において「Science Partnerchip Program(SPP)」が開催されました。 SPPとは,地域の高校と連携協力して,実験・観察・体験などを組み合わせた共同授業,本プログラムでは,シミュレーション物理入門(朝倉書店)を教材として,磁石のシミュレーションとしてイジング模型の1次元・2次元・3次元のシミュレーションを行いました。 また,本プログラムは,文部科学省のサイエンス・パートナーシップ・プログラム(SPP)に採択されています。
 1日目は,物理における計算機シミュレーションを理解してもらうために,コンピュータとはどういうものか,どういう用途に使われるかから始まり,計算機シミュレーションではどのような計算機が利用されているか,どのようなシミュレーションが行われているのか, 物理シミュレーションを実行するためにはどのような知識が必要かの概略説明が行われました。
 2日目は千葉大学総合メディア基盤センターに会場を移し,生徒一人ひとりが実際にパソコンやスーパーコンピューターを利用して,磁石の相転移や結晶成長などのシミュレーションをおこないました。具体的には,まず,磁性の最も簡単な模型としてイジング模型を取り上げ, 1・2次元の数式処理,数値計算,グラフィックス統合ソフトウェアであるMathematicaを用いたシミュレーション,アニメーションの実習を行い,その後,エネルギー的には強磁性イジング模型と全く々になる格子気体模型を用いて, 2・3次元のシミュレーションをスーパーコンピューターを用いて実行し,その計算結果をパソコン上のMathematicaを用いてデータ処理,グラフィックス表示の実習を行いました。

総合メディア基盤センター行事表(2005.4〜2006.3)

平成17年 6月20日(月) 第1回「教育・情報環境基盤システム」仕様策定委員会
6月29日(水) 第2回仕様策定委員会
7月6日(水) 第3回仕様策定委員会
7月21日(木)

第4回仕様策定委員会
7月23日(土) 数理科学コンクール
8月3,4日(月,火) 第1回高速演算サーバ(SR11000)利用講習会
8月8日(木) 第5回仕様策定委員会
8月19日(金) 第6回仕様策定委員会
8月22,23日(月,火) Science Partnership Program(SPP)
9月21日(水) 統合メールシステム利用講習会
9月28,29日(水,木) 第2回高速演算サーバ(SR11000)利用講習会
9月30日(金) 第1回運用専門委員会
10月5日(水) 第7回仕様策定委員会
11月2日(水) 第1回アプリケーションプログラム講習会
11月3日(木・祝) 第2回アプリケーションプログラム講習会
平成18年 3月10日(金) 情報関連授業担当教員説明会
3月22日(水) 第5回総合メディア基盤センター研究会(IMIT研究)

ご案内

「メディア対応シュレッダ」設置のご案内

すでに当センターWebページでご案内していますが,当センター1階ホールに「メディア対応シュレッダ」が設置されています。個人情報の適切な管理にお役立て下さい。このシュレッダ出は,下記の電磁媒体の裁断が可能です。
 ・MO ・ZIP ・DDSカートリッジ ・CD ・DVD 


投稿記事募集

総合メディア基盤センターでは,Newsletterへ掲載する記事を随時募集しています。記事の投稿を希望する方は,総合メディア基盤センター広報委員会(連絡先は下記参照)までご連絡ください。

次号のお知らせ

「第5回総合メディア基盤センター研究会(IMIT研究会)開催報告

 平成18年3月22日,理学部4号館1階3Dシアタールームにおいて,第5回総合メディア基盤センター研究会が開催されました。本研究会においては,当センター専任教員およびその研究室の学生,総合メディア基盤センタープロジェクト研究に携わった本学教員・学生の方々が, 今年度の研究成果を発表しました。12件の発表がありましたが,次号総合メディア基盤センターNewsletterにおいて,その詳細を報告いたします。


平成17年度総合メディア基盤センタープロジェクト研究

 平成17年度,総合メディア基盤センターでは,情報科学・技術研究の発展,情報基盤を活用した教育・研究の高度化およびセンター所有の施設。設備の利用を促進するため,総合メディア基盤センターの教員と千葉大学の教職員・大学院生・ポストドックが協力して行う共同研究(プロジェクト研究および一般研究)を公募しました。 合計6件のプロジェクト研究と3件の一般研究が採択されました。それぞれの研究概要については次号総合メディア基盤センターNewsletterに掲載いたします。

千葉大学総合メディア基盤センター Newsletter Vol.4 No.1 2006年(平成18年)3月発行
編集・発行 千葉大学総合メディア基盤センター・広報編集委員会

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