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■特集 新「情報環境基盤システム」(その1)■

平成17年3月1日から「情報環境基盤システム」が新たに稼動します。この新システムの詳細を本号および次号で紹介いたします。まず,本号では新「情報環境基盤システム」の仕様策定の考え方と骨子を本システムの仕様策定委員長島倉信教授と仕様策定委員のひとり井宮淳教授から説明いたします。


「情報環境基盤システム」導入の背景と目標

仕様策定委員長
大学院自然科学研究科長
教授 島倉 信

○「情報環境基盤システム」導入の経緯
総合メディア基盤センター(平成13年4月,旧総合情報処理センターを改組)では,教育および研究支援のためのコンピュータ・システム,教育・研究・業務支援のための学内ネットワーク・システムおよび電子メール・システムの管理・運用を行っています。「情報環境基盤システム」とはこれら3システムの総称です。
 同センターでは急速に発展する高度情報化社会に対応し,あるいは先取りして,千葉大学の情報環境基盤の高度化・整備・充実に努めてきました。現在あるシステムの導入の時期や方法,そして管理・維持形態はそれぞれのシステムによって異なりますが,大まかに言って,機能賃借によるシステムと買取によるシステムが存在しています。この意味では,コンピュータ・システムは前者であり,メール・システムとネットワーク・システムは後者に当たります。平成10年頃は,千葉大学においても電子メールを利用している方は極々少数で,会計検査院からは,ネットワークの性能に比べてその利用実績の低さが指摘されていました。つい数年前のことでありながら今日からは想像し難い状況にありました。
 余りにも急速な情報化の進展に対応するため,これまでは主に補正予算による「買取のシステム」として新システムを導入し,あるいは既存のシステムを強化してきましたが,情報化の進展にともない,情報基盤システム自体が膨大なものとなるとともに極めて高額なものとなってきています。法人化にともなってはなお更のこと,高額なシステムを維持するための経費をどのように予算化するかが大きな問題として浮上してきました。一方,情報専門教育に対するコンピュータ・システムの導入のための予算が,総合メディア基盤センターとは別に,工学部と大学院自然科学研究科に処置されています。このような事情から,センターを含め三者別々に導入時の仕様策定作業を行い,別々にそれぞれのコンピュータ・システムを管理運用してきていました。今回の仕様策定にあたっては,このような非効率を回避し,センターとの予算の一本化を図り,工学部や自然科学研究科においてはより高度な情報専門教育を可能とするシステムを,また普遍教育における情報教育だけでなく全学の専門課程における情報教育にも対応するシステムを,また教育の高度化に対応できるシステムの導入を図るべく計画されています。一方,これまで買取のシステムであったネットワーク・システムとメール・システムを借料の範囲で強化充実し,予算的にも安定したシステムとして構築されるものと期待しています。
 千葉大学では,初めてスーパー・コンピュータを調達することとなったため,これまでの大型汎用機の調達方法とは異なり,平成15年の中半から準備をし,ようやく平成17年3月1日より新システムが稼動する運びとなりました。新システムへの切り替えの時期は,ご迷惑をかけることもあろうかと思いますが,ご理解いただければ幸いです。また,新システム導入にあたっては予期せぬ不具合が生じる場合も時としてありますが,センターへご連絡いただくとともにより安定したシステムの構築にご協力いただきますよう,よろしくお願いいたします。
 今回調達される情報環境基盤システムの概略を述べましたが,それぞれのシステムについて以下に簡単に述べたいと思います。新システムをご利用いただく上で参考になれば幸いです。

○コンピュータ・システム
 平成4年2月,専門教育用電子計算機システムおよび研究用電子計算機システムとしてHITAC M-680Hを導入,平成8年3月,HITAC S-3800/160, HITAC M-640/20EおよびクレイCS6400を導入し,専門教育および研究のための電子計算機システムを運用してきました。この間千葉大学では平成6年3月,全学生に対して共通教育としての情報リテラシー教育を行うための電子計算機システム(CS6400およびEL92×8台)を導入し,本センターのシステムとは別に運用してきました。平成12年2月には,共通教育および専門教育における情報教育システムを統合し,また研究環境の改善を図るため,本センターでは教育用サーバおよびアプリケーション・サーバとしてSun Enterprise10000を,また高速演算サーバとしてHITACHI SR8000を導入し,教育研究環境の改善を図っています。
 しかしながら,本センターが管理・運用する研究用電子計算機システムは,宇宙空間プラズマ・シミュレーションや固体物性シミュレーション,流体工学や構造工学における動態シミュレーション等におけるモデルの大規模化には充分には対応できない状況にあります。現在中規模の計算においても繁忙期にはジョブが実行されるまでの待機時間が長いため,研究室の計算機資源を利用する傾向にあり,マルチジョブの効率化,最適化などによる高速化への極めて強い要望があります。更に,計算モデルの大規模化やユーザの扱うデータの巨大化に応えるには,充分な主記憶容量の確保および充分な2次記憶装置(ハードディスク)容量の確保が極めて重要です。解析対象の複雑化や多様化が進む中で,実際の対象の挙動を忠実に再現するために,3次元空間におけるシミュレーションや可視化画像の3次元化が進む中にあって,主記憶容量の不足やハードディスク容量の不足のため研究が阻害されることがあってはなりません。
 一方,高度情報化社会に対応した高等教育における情報教育の充実は必須の教育要件であると同時に,情報基盤の利活用による教育の高度化を推進するための利用環境の整備を行う必要があります。また,今や情報基盤の活用は研究の高度化,大学運営の効率化・高度化を推進する意味においても不可欠であります。これらの条件を満たすものとして,HITACHI SR11000(486.4 GFlops,主記憶容量:256 GB,ディスク容量:1.1 TB)が導入されることとなりました。

○ネットワーク・システムおよび統合メール・システム
 千葉大学では,平成4年2月,複合ネットワーク(FDDI)システムを導入し,更に平成8年2月ATMネットワーク・システムの導入,高信頼・高速キャンパス情報ネットワーク・システムの導入(平成13年10月)により年々増大する情報流通量に応えてきました。また,平成14年3月,教職員および大学院学生を対象に現統合メール・システムを導入し,学部学生(教育用電子計算機システムに収容),大学院学生,全教職員の全ての大学構成員に対しメール環境を提供しています。しかしながら,情報基盤利活用の多様化・高度化にともない,利用環境の陳腐化,ネットワーク・セキュリティの確保や管理運用の高度化・簡便性が重要な問題となってきています。今回の調達では,より安定で利便性の高いシステムとするため,重要部分の二重化やキャンパス間(西千葉−亥鼻,西千葉−松戸)の回線容量の飛躍的増強(1Gbit/s)を実現しています。

○専門基礎教育および専門教育と計算機環境
 平成15年度より,高等学校において新教科「情報」の教育が始まっています。平成18年度より,新しい教科「情報」を習得した学生に対応した計算機環境が提供されるよう,また学部および大学院における情報工学・情報科学・情報学等を専門とする学生に対する専門基礎教育およびより高度な専門教育を可能とする環境も提供できるよう配慮されています。さらに,西千葉,亥鼻,松戸の3キャンパスに端末システムが配置され,さまざまな専門領域における教育に対しても利用可能なシステムとなるよう配慮されています。更には,例えば履修登録等に対しても情報基盤の利用環境が格段に向上することが期待されます。

 以上述べましたように,教育・研究・運営のすべての面において,高度情報化社会に対応した情報基盤を構築すべく,現有システムの増強および更新を行っています。特に,教育面においては情報基盤利用環境の整備を,また先端科学を推進する意味においては現システムの演算処理能力,主記憶容量,2次記憶装置容量のいずれにおいても,本センターの利用者の計算需要に見合わなくなっておりましたが,今回の「情報環境基盤システム」の導入によって,不充分ながらも利用者の期待に応えられるシステムとなり,教育・研究・大学運営等に新システムを大いに利活用いただけるものと期待しています。また,今後利便性の高い成熟したシステムに成長しますよう,学生,教職員のご理解とご協力をお願いいたします。
 最後に,今回の「情報環境基盤システム」の導入にあたって,多くの教職員の皆様のご協力を得ましたこと,この場を借りて御礼申し上げます。

HITACHI SR11000
<HITACHI SR11000>



「情報環境基盤システム」の仕様概要および目的

総合メディア基盤センター
副センター長  教授 井宮 淳

 千葉大学(以下「本学」という)では,総合メディア基盤センター(旧総合情報処理センターを平成13年4月に改組,以下「本センター」という)を設置し,教育および研究のための電子計算機システムを管理・運用するとともに,教育・研究・事務用学内ネットワークの管理・運用,すなわち千葉大学の情報環境基盤の整備および管理・運用を行ってきた。
 平成12年2月,共通教育および専門教育における情報教育システムを統合し,また研究環境の改善を図るため,本センターでは教育用サーバおよびアプリケーション・サーバとしてSun Enterprise 10000を,また高速演算サーバとしてHITACHI SR8000を導入した。
 一方,高度情報化社会に対応した高等教育における情報教育の充実は必須の教育要件であると同時に,情報環境基盤の利活用による教育の高度化を推進するための利用環境の整備を行う必要がある。また,いまや情報環境基盤の活用は研究の高度化,大学運営の効率化・高度化を推進する意味においても不可欠である。
 平成14年3月,教職員および大学院学生を対象に現統合メールシステムを導入し,学部学生(教育用電子計算機システムに収容),大学院学生,教職員の全構成員に対しメール環境を提供している。しかしながら,情報環境基盤利活用の多様化・高度化にともない,利用環境の陳腐化,ネットワーク・セキュリティの確保や管理運用の高度化・簡便性が重要な問題となってきた。
 平成15年度より,高等学校において新教科として「情報」の教育が始まっている。新しい教科を習得した学生は18年度より大学に入学を開始する。そこで,18年度以降,すでに計算機を利用した教育環境を経験した本学への新入学学生に対して,今後,新たな計算機を利用した教育システムを構築する必要がある。この教育は,引き続き,本センターが供する計算機システムを利用して行われることになる。また,高等学校における教科「情報」の教育者を教育するためにも,本センターが計算機環境を用意する必要があることは言うまでもない。
 また,本学の学部および大学院には,情報工学,情報科学,情報学の専門教育を行う学科,専攻,課程等が幾つか存在する。これらの学科,専攻,課程等に在籍する学生は,まず,本学の全学教育プログラムによって本学における計算機環境に触れることになる。その後,それぞれの学科,専攻,課程において,それぞれの専門の教育,研究指導を受ける。これらの学生に対して,本学在学中に,一貫した計算機環境を教育のために供することは,計算機環境に対する最小限の入門知識から始め,さらに高度な利用法を学ぶことができるため,学生は言うに及ばず教授者にとっても,もっとも教育的効果が上がるものと考えられる。
 そこで, 今回, このシステムを更新し,平成 17年3月1日より新たなシステムを運用することとなった。
 今回導入を行うシステムは,全学的専門基礎教育,ならびに,専門教育に供することに耐えうるシステムでなければならない。さらに,医学,薬学,人文科学などの研究,臨床教育に伴うデータなどには個人情報が含まれることがある。これらのデータを研究教育上,ネットワークの上で共有するためには,堅固な情報セキュリティー機能が要求を満たすものである。また本学では,学生の履修登録等の入力を,本センターの用意する端末システムにおいて行っている。そこで,学生の個人情報等に関する情報セキュリティーに関しても細心の注意を払ったシステムとした。
 さらに,本学に存在する三つの学地に分散して供する端末システムにおいては,西千葉地区において専門基礎教育を受けた学生が導入教育と同様の環境において,引き続き端末システムを利用できることを目指した。
 本システムは以下の構成から成っている。

(構成内訳)
演算サーバ・・・・・・・・・・・一式
ファイルサーバ・・・・・・・・・一式
認証サーバ・・・・・・・・・・・一式
統合メールサーバ・・・・・・・・一式
教育用計算機端末システム・・・・一式
接続用ネットワークシステム・・・一式
運用管理計算機群・・・・・・・・一式

本システムの調達に関して, 予算等の折衝, 仕様書の策定, などにご尽力いただいた関係各位に心から感謝する次第である。

(次号では,本システムの構成内容について詳報する予定です。)


情報環境基盤システム構成図
<情報環境基盤システム構成図>



平成16年度第2回総合メディア基盤センター運用専門委員会開催(平成17年2月15日)

 「情報環境基盤システム」の稼働を前にして,平成17年2月15日(火)14:00〜15:30,けやき会館会議室(2階)において,平成16年度第2回総合メディア基盤センター運用専門委員会が開催されました。「情報環境基盤システムについて」を主要議題として,配付資料「「情報環境基盤システム」(新システム)への移行と運用について」をもとに,1.教育用システム,研究用システム,統合メールのそれぞれに関して現システムからの移行について,2.新システムの運用について,3.平成17年度以降の入学学生へのアカウント配布について,報告と質疑が行われた。運用専門委員の方々には決定事項を部局の皆さんに周知していただくよう要請された。
 一般の教職員の方々が心配されているであろう旧統合メールのメールアドレスは,新システムの統合メール(「Active!Mail」)でも継続して使用できます。また,3.については,(1)入学学生のアカウント(利用者ID,パスワード)の作成・発行は総合メディア基盤センターが行う,(2)初期パスワードは従来の方式を改めランダム文字列とする,(3)学生へのアカウントの配布は各学部で実施するようお願いしたい,との報告が行われました。
 なお,センターでは新システム稼働にあわせて「教職員・院生用利用案内」,入学式に合わせて「学生用利用案内」を発行する準備をしています。


教育システム利用説明会開催(平成17年2月16日)

新「情報環境基盤システム」の運用開始を前に,平成17年2月16日(水)14:00〜16:00,総合校舎A号館2階「情報処理自習室」において「教育システム利用説明会」が開催されました。「教育用システムを利用する授業の担当教員,およびその授業のTA候補者を主な対象者」とする総勢約80名(総合メディア基盤センター教職員9名,情報処理準備室職員2名を含む)の方々が参加。(1)情報環境基盤システムの概要,(2)教育用システムの利用について説明があった後,(3)操作実習が行われました。参加者には説明会用臨時アカウントが発行され,自由に新システムの起動(Windows, Linuxの選択起動が可能です),アプリケーションの操作を体験して頂きました。参加者からの使用感等の意見をもとに運用開始まで調整が行われます。

   
<教育システム利用説明会の様子>



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研究活動報告
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○ 総合メディア基盤センター・プロジェクト研究

平成16年度の総合メディア基盤センター・プロジェクト研究として以下の研究代表者による研究課題が採択されました。

野口 博センター長
(研究課題名)
スーパーコンピュータとPCの連携による鉄筋コンクリート造建物の3次元非線形FEM解析法の開発
(研究の目的)
 3月から導入予定のスーパーコンピュータとPCを連携させ,大規模な建築構造の非線形FEM解析をスーパーコンピュータで解き,その基になる部材の解析や,入出力のプレ・ポストプロセッサーをPCで利用する方法を開発する。この研究は,一般ユーザーにスーパーコンピュータの新しい利用を促す位置づけも意図したものである。

多田 充 助教授
(研究課題名)
数論的問題に関する計算困難性の仮定を必要としない電子認証に関する研究
(研究の目的)
 現在一般的に利用されている公開鍵暗号系は,素因数分解問題や離散対数問題などの数論的問題の計算量的困難性を仮定した上で安全性が示されるものがほとんどであるが,これらの問題は,量子計算機を用いると多項式時間で計算できることが示されているので,将来的に量子計算が実現すると安全に利用することができません。
本研究では,数論的問題を仮定せずに,単にP≠NPであれば安全性が示される,NP完全問題に基づく公開鍵暗号系に関する研究を行う。

井宮 淳 教授
(研究課題名)
無線LAN監視システム開発のための自在LANシステムの開発+研究会開催
(研究の目的)
 本研究では,無線によって個体間の通信が可能な移動ロボットを複数台用意して,現実のAdHoc型ネットワークの運用と同様に,端末が自由に移動することができる実験用の閉 じたネットワークを構築する。この実験システムを利用して,現在,固定型ネットワークに対して開発しているネットワーク監視,運用システムを,無線LAN型AdHocネットワークの上でも適用するための間題点を,実験を通じて探る。
今泉貴史 助教授
(研究課題名)
同報通信を制限した機器を用いる情報コンセント構築法
(研究の目的)
 情報コンセント構築の際には,接続端末を守るための方策,接続端末からの攻撃を防ぐ方策などさまざまな処理が必要となる。外部と内部との通信であれば,ファイアウォールを設けることで対処できるが,情報コンセントにつないだ端末同士の通信に関しては制限できないため,公衆ネットワーク内でウイルスが蔓延してしまう危険がある。同報通信を制限した機器を用いることで,ウイルスの蔓延を防止することを目的とする。
酒井智弥 助手
(研究課題名)
総合大学におけるe-learningの導入活用に関する研究
(研究の目的)
 e-learningの普及において問題となる,システムの互換性,教材の移植性,コスト,学習効果,著作権等に関する調査を行う。また,e-learningの基盤提供とコンテンツ開発による利用促進に取り組む。
宗宮好和 教授
(研究課題名)
Multiple e-Lerning contentsの制作・開発に関する研究
(研究の目的)
 ある講義の1学期間の構成は(最大)1回90分x15回である。まずその内容(コンテンツ)をデジタル化する。コンテンツには,各種のリンクが張られる。教師の注釈,参考文献,文献の解説,ときにはインターネット上のサイトなど。いま構想するe-Learning contentsは,そこに他の講義をリンクさせるものである。その講義も同様にmultipleなものでなくてはならない。すなわち,一つの学問の入り口から,迷路のような,しかし,理論的関連をもつ他のサイト(=学問分野)に入っていく構造になっている。教師の共同研究が不可欠であるが,将来的なバーチャル・ユニバーシティあるいはe-Learningシステムを視野において,このようなmultiple contents制作の可能性について考えてみたい。
神谷友久 助教授
(研究課題名)
教育効果の高いeラーニングの研究開発
(研究の目的)
 近年の情報通信技術の発展を背景に,eラーニングが注目されつつある。しかしながら,その運用に必要な労力,能力,時間,コストは相当に大きく,実際の普及や活用はそれほど進んでいない。本研究開発では,従来の無機的・形式的なeラーニングから脱却し,教育効果の高い教育を行う観点から,eラーニングを実証的に研究開発する。情報処理を内容とするeラーニング教材を研究開発し,実際に授業で用い,フィードバックを行う。教育効果を高めるため,実習型とし,インタラクティブでクリエイティブなeラーニング教材を開発する。
全へい東 教授
(研究課題名)
センサエリアネット(SeAN)の基礎検討
(研究の目的)
 人や車などの動的な監視対象を確実に追跡・分析するには,複数の視点から観測することが必須である。複数の視点から観測する場合,個々のカメラの位置や姿勢を知る必要があるが,これまではもっぱら人手による作業に頼っていた。そこでこの研究では,複数のセンサをアドホックネットワークにより相互接続し,さらに自律的に互いの位置関係を求め,対象の追跡を動画像処理によって実現する「センサエリアネットワーク(SeAN)」を実現するための基礎的な検討を行う。
植田 毅 助教授
(研究課題名)
グリッド計算による次期情報環境基盤システムの有効利用法の探索
(研究の目的)
 総合メディア基盤センターの次期情報環境基盤システムでは,Linux, Windowsがdual boot可能なPC端末が500台以上導入される。特に,普遍教育用の端末群は夏休み,後期には利用率が極めて下がることから,これらの端末を有効利用するべく,グリッド計算用のアプリケーションソフトウェアの導入も盛り込まれている。本プロジェクトでは模擬的なシステムを用いてグリッド計算を行うことにより,そのパフォーマンスの確認,ノウハウを蓄積,公開することによって,次期情報環境基盤システム上でのグリッド計算を奨励,振興することを目的とする。

○ 千葉大学大学院自然科学研究科重点研究

総合メディア基盤センター専任教員を中心としたグループの以下の課題が採択されました。

研究組織:
井宮 淳(総合メディア基盤センター教授),全へい東(同 教授),多田 充(同 助教授),今泉 貴史(同 助教授),植田 毅(同 助教授),酒井智弥(同 助手),北神正人(工学部情報画像学科助教授),岸本 渡(工学部情報画像学科助教授),塩田茂雄(工学部都市環境システム学科助教授)。

研究課題:「事」研究の創成と展開

研究目的:
 人は街に住む動物ともいわれる。人が行動する環境である街のなかで,複数の人が意思を持って行動すると事が生じる。また,人を固体として見た場合,生存のためには生体の中で事が永続的に発生していると捉えることができる。
 計算機科学の対象として21世紀の課題として残された大きな対象は人間である。この研究では,人と人体,外界の中での人の活動に関して,効率的かつ効果的な情報処理手法の開発を目的とし,人間の活動,人体の本質的な働きを,事のモデル化,蓄積,伝送,映像化を共通指針として,計算機科学の立場から解明する。そのために,人と事,生体の事を解明し,多種多様な事のモデル化,多種大量の事の蓄積,事の効率的伝送方式,事の効果的映像化に関して,共通の基盤となる基本原理の確立を目指す。
 この研究課題では,研究組織参加者の現在までの成果を,人と街,生体の事を研究の交差点として,参加者のこれまでの研究成果を再構築すると共に,事の科学に取り組む新しい人材を養成することを目指す。

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本プロジェクトの研究集会が下記要領で開催されました。

■場所千葉大学西千葉キャンパスけやき会館3階レセプションホール
■日時平成17年2月3日(木) 10:00 - 17:00
■プログラム
10:00 - 10:10 Opening(井宮淳)
10:10 - 10:55 【招待講演】

 「ユビキタスネットワーク社会創造への道筋と課題」  森川博之(東京大学)
10:55 - 11:30 「デジタル署名の効率化と安全性」  多田充(千葉大学)
(休憩)
13:00 - 13:45 【招待講演】

 「ソフトウェアと検証技法」  青木利晃(北陸先端大学)
13:45 - 14:20 「P2Pネットワークにおけるコンテンツ検索メッセージのフラッディング」効率化  塩田茂雄(千葉大学)
(休憩)
14:50 - 15:25 「計算機システムの高信頼化」  北神正人(千葉大学)
15:25 - 16:00 「ランダム点集合の分割」  井宮淳(千葉大学)
16:00 - 17:00 全体討論
 「大学院における情報科目の教育研究のあり方について」
17:00 - Closing


○ 総合メディア基盤センター研究会開催のお知らせ(平成17年3月15日)

センター各研究室の教員,学生が研究成果を発表する第4回総合メディア基盤センター研究会(IMIT研究会)を下記要領で開催します。



日時平成17年3月15日(火)
時間10:00〜17:00 (予定)
場所総合メディア基盤センター4階 会議室



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センターTOPICS
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○ 学生用メール移行

学部学生のメールをサービスしていた普遍教育用計算機システムkeyakiが機種更新に伴い2月14日(月)に運用停止,撤去されました。それにともない,2月7日(月)に学部学生用メールサーバーの運用を停止し,各学生宛のメールは新「情報環境基盤システム」の統合メールサーバー(新統合メール)で受信するよう設定変更されました。
新統合メールへは既にweb等からアクセス可能になっています。
(詳細は当センターHP「学部学生メール移行のお知らせ」参照)


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平成17年度研究利用申請受付中

平成17年度に本センターの高速演算サーバーの継続利用を希望される方の継続利用申請を下記の要領で受付けています。

申請期間平成17年3月11日(金)まで
申請方法所定の申請用紙に記入・捺印の上,期日までに財務部情報課情報基盤係(センター1階受付窓口)に,直接又は学内便で提出してください。
申請書類・ 支払責任者登録・計算機利用申請書
支払責任者となる方が提出して下さい。この申請書は,支払責任者としての登録と責任者本人の計算機利用登録との両方を兼ねています。
・ 計算機利用申請書
研究グループ利用者となる方が提出してください。支払責任者の書名捺印が必要です。


新規利用申請手続きは平成17年4月1日(金)から受付予定です。


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