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■センター長挨拶■

総合メディア基盤センター長  野口 博

野口センター長  千葉大学総合メディア基盤センターは、学内共同教育研究施設として2001年4月に発足し、情報技術基盤、情報メディア教育、学術情報処理、大規模情報システムの4研究部門と財務部情報課情報基盤係からなっています。本センターは、1964年4月の工学部電子計算機室としての発足以来、40年の歴史を持ち、情報処理センター、総合情報処理センターを経て、千葉大学情報基盤の高度化の推進に先進的役割を果たしてきています。本センターは、近年、学内高速ネットワークの整備、教育の高度化のためのマルチメディア学術情報開発支援システムの構築、情報教育環境の整備、高速コンピュータの導入による研究環境の整備、統合メール・システムの構築等、学内情報基盤の整備に鋭意取り組んできました。
 本学は、2004年4月より国立大学法人千葉大学となり、独立法人としての千葉大学は、個性を発揮し、教育、研究、社会連携、国際交流の4本柱を充実させ、積極的にその成果を情報発信し、社会のニーズを反映しながら発展するためには、大学全体の情報基盤を強化し、活用していくことが大切であります。そのための本センターの課題は数多く挙げられます。すなわち、情報広報室情報企画委員会での情報基盤整備のための中・長期基本計画の策定、情報セキュリティポリシーの策定、学生証ICカード化等によるキャンパスのディジタル化、図書館との連携強化、遠隔講義やTV会議等の3キャンパス間のネットワーク活用、社会に役立つ情報の発信と広報の充実、e-learningの推進による社会人教育、産学連携、地域への貢献等、課題は山積みです。
 本センターでは、2005年3月1日にスーパーコンピュータの稼動が予定されており、情報基盤の環境整備を図りながら、上記の課題の解決に向け、千葉大学の情報中核拠点としての役割を担い、地域そして世界へ貢献していきたいと考えますので、皆様のご協力とご支援をお願いする次第です。

新しくなった総合メディア基盤センターの組織

 総合メディア基盤センターは発足以来、4研究部門と情報基盤推進室から成っていましたが、2004年(平成16年)3月末で情報基盤推進室が解散し、4月からは教官組織である4研究部門と事務組織である財務部情報課によって構成されています。情報基盤推進室が担っていた業務は主に財務部情報課情報基盤係に引き継がれました。



 センター長(学長指名。現在、野口博工学部教授)の下に、センター長指名の副センター長(現在、研究担当:井宮淳教授、教育担当:全へい東教授)がおかれ、センターの管理運営に係わる重要事項を審議するため企画会議(センター長、副センター長、財務部情報課長、情報基盤推進企画官により構成)が設置されました。
 教員会議はセンター長、副センター長、センター専任教員、財務部情報課長、情報基盤推進企画官によって構成され、センターの研究及び教育に関する重要事項、情報システムの整備、管理及び運用に関すること、その他を審議します。
 連絡協議会はセンター長、副センター長、センター各研究部門の教員各1名、関連する学部等の教授若干名、附属図書館長、財務部情報課長、情報基盤推進企画官によって構成され、情報システムに係わる学内共同利用に関する重要事項を審議します。  この連絡協議会には専門の事項を調査検討する専門委員会を置くことができますが、現在設置されている専門委員会は次の通りです。
 総合メディア基盤センター運用専門委員会、同広報編集専門委員会、同ネットワークセキュリティ専門委員会、同情報教育専門委員会、同自己点検・評価委員会。

■第1回国立大学法人情報系センター協議会総会開催■

<挨拶する野口博センター長>
第1回国立大学法人情報系センター協議会総会および分科会が、2004年(平成16年)6月11日に千葉大学けやき会館で開催されました。この協議会は、全国の国立大学法人に置かれた総合情報処理センター・情報処理センター等が、コンピュータおよびネットワークを担当する学内共同利用施設に課せられた任務の遂行に資する活動を協力して行うための組織であり、毎年開催される総会は、センターの業務に関する調査研究や連絡調整のために関連機関との交流を深める貴重な機会となっています。国立大学の独立行政法人化と、センター等の担う任務の変化に伴い、従来の「国立大学情報処理センター協議会」の第20回の総会にあたる今回、組織名が「国立大学法人情報系センター協議会」に変更され、その第1回目の総会となりました。総会では文部科学省研究振興局から4名、国立情報学研究所から3名、全国の大学74校から総勢164名の参加者により、活発な議論が交わされ、ロビーならびに総会後の懇親会でも参加者の間で情報交換が行われました。

<挨拶する藤井敏夫本学理事>
本総会の詳細な議事記録は、総合メディア基盤センターのHP(http://www.imit.chiba-u.jp/)の「国立大学法人情報系センター協議会」に掲載されていますので、ここでは概略をご報告いたします。
総会の開会では、藤井俊夫千葉大学理事、小西和信国立情報学研究所開発・事業部次長、野口博千葉大学総合メディア基盤センター長からそれぞれ挨拶があった。
総会前半は高橋一幹事(一橋大学総合情報処理センター長)の司会により、今年度に名称変更があった新(総合)情報処理センター8校が紹介された後、ふたつの議事についてそれぞれ講演があった。

(1)「最近の学術情報を取巻く動向について」
   文部科学省研究振興局情報課学術基盤整備室室長 當麻 維也 氏
ITに関する政府の取り組みとして、総合科学技術会議と、IT戦略本部(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)がある。前者は、研究開発、科学技術の今後の動向を政府全体として決める場であり、後者は、2005年(平成17年)に世界最先端のIT国家になることを重点計画2004で主張している。文科省における平成16年度の情報科学技術関連施策の予算額は前年度比2.4%増の471億円である。新規施策「知的財産の電子的な保存・活用を支援するソフトウェア技術基盤の構築」でデジタルアーカイブを強化し、既存施策では「e-Society基盤ソフトウェアプロジェクトの総合開発」や国立情報学研究所のNAREGIプロジェクトを進めている。 センターの仕事はまさしく基盤であり、その役割は非常に重要である。現状を分析し学内ニーズを絶えず把握して、必要な施設の導入、運用の変更、種々のサポートなどを機動的に実施するとともに、学内外の関連施設と緊密に連携協力しながら、学術情報および研究成果の発信機能の強化に努めていただきたい。文科省としても、そのようなセンターの活動を支援したいと思っている。

(2)国立情報学研究所「グリッドの国家プロジェクト(NAREGI)について」
   国立情報学研究所リサーチグリッド連携研究センター長・教授 三浦 謙一 氏
グリッドの国家プロジェクト「NAREGI」(正式名称:超高速コンピュータ網形成プロジェクト「National Research Grid Initiative」)は、分散した計算機資源、データや実験装置、研究者そのもの等をネットワークで繋いで仮想的な組織を作るというコンセプトであり、経済活性化のための文科省のリーディングプロジェクトの一環である。国立情報学研究所と岡崎にある分子科学研究所を2拠点として、全国の共同研究機関、大学、産業界を含む体制である。このプロジェクトはネットワークそのものが研究対象ではなく、グリッドに必要なミドルウェア、ソフトウェアを研究開発することが目的になっており、ネットワークはスーパーSINETのインフラを使う。
産官学一体のプロジェクトである「NAREGI」は、今年は5年プロジェクトの2年目にある。計算リソースが100TFlopsクラスになっているだろう3年ないし5年先に計算環境をグリッド化するための基盤ソフトウェアを開発する。来年度末までにはNAREGIミドルウェア第1版をオープンソースの考えに則り配布可能にし、同時に、計算リソースをつないで大規模な実証試験を行う予定である。

分科会報告と総合討論

<総会風景>

(司会する野口博センター長、演壇左から文科省・
土井大輔氏、同・大山卓也氏、同・當麻維也氏、
国立情報学研究所・小西和信氏、同・鈴木新一氏)
総会後半は、野口博千葉大学総合メディア基盤センター長の司会により、午前中に開催された分科会の報告等と、総合討論が行われた。

○分科会報告
情報処理関連施設における設備の有効活用に関する基準の策定について、大学の設置目的や規模等の実状により、設備の導入点検評価や活用の基準を一様に定めることは困難であるため、各大学の実状に合わせて評価基準を策定できるよう、評価項目や指針を議論し整理するための作業部会を設置することが分科会で検討・決定された旨、本学島倉信教授から報告があった。作業部会は高速演算サーバ、教育システム、ネットワークシステム、情報サービス系の4分野別に分けて評価項目、指針をまとめることになった。

○総合討論
情報系センターから文科省に対して、予算要求の仕組み、運営費交付金、キャンパスネットワークの更新、レンタル料、情報ネットワーク基盤整備の計画、セキュリティ問題、他大学との人事交流、技術職員の旅費、建物の予算化、政府調達等、多岐にわたる質疑応答があった。
文科省からは、大学が限られた資源を有効に活用し、学内ニーズに応じて自主的に資源配分することを期待する旨の回答が全般的に目立ったといえる。
国立情報学研究所に対しては、SINETの通信速度の増強、ノードの増設、信頼性、安定稼動、セキュリティ対策、異常トラフィック、スーパーSINETの拡大、経路整備、ボトルネックの解消に関する質疑応答があった。
さらに総会終盤では、法人化後の組織と予算について討論が行われた。情報基盤は教育と研究の両方に関わるため、運営に掛かる経費を競争的な資金に取り込むことは困難であり、また、学内の大学院や学部等と共同でなければ教育を前面に出した予算獲得も難しい。総会では、全学の情報化推進を統括する委員会や機動的な組織作りと予算確保、活動の規範となるセキュリティポリシーの徹底、運営を支える人員体制について各大学の実状と努力が話し合われた。


新「情報環境基盤システム」が決まりました

 来年2月、総合メディア基盤センター電子計算機システムの更新が5年振りに行われます(2005年3月1日稼動)。そこで、現在、導入に向けて準備している新システム(「情報環境基盤システム」)の概要を紹介します。

○ 電子計算機システムの更新といいますと、「使い勝手はどうなのか?」、「計算機は速くなるのか?」という点がもっとも気になるところです。今回の更新で一番変わるところは教育用利用者端末でUNIXとWindows環境を選択して起動することができ、UNIX だけでなくWindowsのソフトウェアも利用できるようになるという点です。教育用利用者端末はディスクレス端末(パソコンからディスクを取除いた端末)となり、ファイルの出し入れは周辺機器のファイル交換用PCを用います。第二に、研究系の高速演算サーバが480GFlopsになり前機種(HITACHI SR8000)の10倍程度の性能になるという点です。さらに、教育・研究活動を支援する統合メールシステムも使い勝手が改善され、コンピュータウィルスの攻撃に24時間・365日、安全・安心して利用できるようにセキュリティ機器が配置されます。

○ 「情報環境基盤システム」の概要
 「情報環境基盤システム」は次のように七つの系に分類されます。
 
1 演算サーバ・HITACHI SR11000   ・OS   : IBM AIX5L
2 ファイルサーバ・SunFire V880

・磁気ディスク装置(SunStorEdge6120)
3 認証サーバ・SunFire210   ・OS   : Solaris9

・HA8000/110GA  ・OS   : RedHat Linux
4 統合メールシステム
 (1)メールサーバ・Dell PowerEdge1850   ・OS   : RedHat Linux
 (2)Webサーバ・Dell PowerEdge1850   ・OS   : RedHat Linux
 (3)Virusチェックサーバ・Dell PowerEdge1850   ・OS   : RedHat Linux
 (4)MLサーバ・Dell PowerEdge1850   ・OS   : RedHat Linux
 (5)通知・連絡サーバ ・Dell PowerEdge1850   ・OS   : RedHat Linux
5 教育用計算機端末システム
 (1)端末系
    ・ VID端末(MiNTPC ridottoS)
    ・ 起動サーバ / NFSサーバ / 管理サーバ   : いずれも PowerEdge750
 (2)周辺装置
    ・ プリンターサーバ / プリンター / 大判(A0)プリンター
    ・ ファイル交換用PC
6 接続用ネットワークシステム
    ・ LAN機器(ルータ、HUB、・・・)
    ・ セキュリティ機器(F/W、Virusチェック、IDS、・・・)
    ・ DPBX接続機器(変換装置)
7 運用管理サーバ  HA8000/70KA


○ なお、新システムの運用計画などにつきましては、逐次、WebやIMITメールニュース(メールマガジン)でお知らせする予定でいます。利用者の皆様には早めに移行準備を進めることをお願い致します。(IMITメールニュース(メールマガジン)の配信をご希望の場合には、当センターHPにて登録申請をしてください。)

旧計算機システムの稼動停止についてのお知らせ

 「情報環境基盤システム」(新システム)導入に伴い、下記の要領に従い、計算機システムの稼動を停止します。ご迷惑をおかけしますが、ご理解・ご協力をお願いします。

1. 稼動を停止する計算機システム
   研究システム(cuhas、cuaps)
   教育システム(keyaki、terra)
2.停止期間
  2005年(平成17年)2月11日(金)〜同年2月28日(月)

 情報環境基盤システムは2005年(平成17年)3月1日から稼動を開始する予定です。同システムの詳細については、各部局の総合メディア基盤センター運用専門委員を通じ総合メディア基盤センターにお問合せください。



第三回IMIT研究会開催

 第3回IMIT研究会は2004年(平成16年)3月22日、総合メディア基盤センター会議室で、若手研究者の研究発表を中心に行われ、活発な討議が行われた。テーマおよび発表者は次の通り。

テーマ発表者
「多重署名方式の構成法と安全性について」当センター助教授 多田充
「文書変更可能な順序つき多重署名ツールの開発」総合メディア基盤センターRA 元木誠
「アクティブカメラの注視点制御に基づく自己運動の推定」自然科学研究科修士1年 池田友彦
「全方位画像からのオプティカルフローの計算」自然科学研究科修士2年 菅谷裕信
「尺度空間解析による動画像理解」当センター助手 酒井智弥
「IDS におけるFalse Positive アラート除去に関する研究」工学部情報画像工学科4年 戸坂浩紀
「UML ダイアグラム間の整合性検証支援手法」工学部情報画像工学科4年 伊藤潤
「メガネ型HMD を用いたアノテーション」自然科学研究科修士1年 石川高志
「ITS における画像センシング」当センター教授 全へい東
「ネルソン確率力学を用いた共鳴トンネル現象の解析」自然科学研究科修士1年 宮川悠
「フォトニック結晶の逆格子の対称性を利用した縮退のあるバンドの計算法」自然科学研究科修士2年 平井俊彦
「金平糖の形を表す指標:シミュレーションとの比較」当センター助教授 植田毅

(発表者の所属・学年は発表会当時のもの)


総合メディア基盤センター行事表(2004.4〜2004.10)

第1回総合メディア基盤センター教員会議4月27日(火)
第2回総合メディア基盤センター教員会議5月26日(水)
第1回国立大学法人情報系センター協議会
(第20回国立大学情報処理センター協議会)
6月11日(金)
第3回総合メディア基盤センター教員会議6月30日(水)
第1回総合メディア基盤センター連絡協議会7月26日(月)
第4回総合メディア基盤センター教員会議7月28日(水)
第5回総合メディア基盤センター教員会議9月21日(火)
第1回総合メディア基盤センター運用専門委員会10月4日(月)


センター共同利用計算機の利用について

 総合メディア基盤センターでは、学内の教職員および学部と大学院の学生に対して研究と教育の ためのセンターの計算機利用をよびかけています。2003年4月から学部学生のネットワーク環境が改善され、すべての学部学生にユーザ名とパスワードが交付されます。これによって、学部の学生は、入学と同時に <教育用システム>の計算機に利用登録され、卒業まで利用することができます。学部学生、大学院生や教職員が<研究用システム>の高速演算サーバcuhasやアプリケーションサーバcuapsを利用するには、研究利用申請が必要です。その際、研究グループの代表の方の支払い責任者登録があらかじめなされていなければなりません。年度継続の利用申請の手続きは3月ですが、新規の利用申請は随時受け付けています。 詳しくは、下記の URL をご覧下さい。

http://www.imit.chiba-u.jp/services/ed_rsch/


Newsletter投稿記事募集について

 総合メディア基盤センターではニュースレターに掲載する記事を募集します。広い意味で情報および計算機環境に関することであれば特に内容を限定しません。<研究用システム>あるいは<教育用システム>をご利用の方々からの体験談、提案などご投稿をお待ちします。どしどしご応募下さい。
 執筆要領については広報編集委員会委員長にご相談下さい。



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