Home > ニュースレター > Vol.2 No.1
タイトル

目次


■学部学生のメール環境の改善■

- すべての学生に入学時からユーザ名とパスワードを交付 -

 総合メディア基盤センターでは、千葉大学の情報基盤整備事業の一環として、平成14年度の「統合メール・システム」の設置に続いて、平成15年4月1日から学部学生のメール環境の改善を図ります。この改善策によって、普遍教育科目「情報処理」の履修を待つまでもなく、また、継続利用申請等をすることもなく、すべての学部学生が入学時から教育用システムのユーザ名とパスワードをもつことになり、ネットワークにアクセスする環境が整えられることになります。
 統合メール・システムには教職員のほか、大学院生も利用することができることになりましたが、財政上また管理上の理由から、学部学生をそれに含めることはできませんでした。一方、全学的なギガネットワークへの移行と統合メール・システムの運用にともなって、従来のATMネットワーク上のメール・サーバが5月30日を目途に撤廃されますが、これらのサーバのメール・システムを利用してきた学部学生に対する救済策をとることが急務であるという事情がありました。

○ 教育用システムと研究用システム

 総合メディア基盤センターでは、学生のためのネットワーク環境として、<教育用システム>と<研究用システム>を提供しています。
 研究用システムには、高速演算サーバ cuhasとアプリケーションサーバ cuapsが用意されており、通常、研究室などからネットワーク経由で利用しますが、その利用は、指導教官の承認を得た後、総合メディア基盤センターに利用申請して許可を得たものに限られています(この研究用システムについてはまた別の機会に紹介します)。
 教育用システムは、UNIX OS を搭載した主サーバkeyakiとネットワーク支援サーバterraおよび端末装置から成り立っています。この教育システムは、普遍教育科目「情報処理」の授業に使用されるほか、総合校舎A号館2F、3F、4Fの情報処理演習室、総合メディア基盤センター1F、2Fの電算実習室にあるkeyakiに接続している端末が、授業時間以外の時間に学生に開放されています。亥鼻キャンパスには附属図書館亥鼻分館3Fに、松戸キャンパスには園芸学部D棟2F計算機室、附属図書館園芸学部分館に端末装置が設置されています。利用者は電子メールやファイルなどをkeyakiに確保された各個人のハードディスク領域に100MBまで保存できます。
 学部学生のメール環境の改善はこの教育システムのkeyakiとterraの再構築によって実現されます。

○ 従来のメール・システムの問題点と解決策

 教育システムは、全学生にとって1年次必修となっている普遍教育科目「情報処理」(2単位、前期または後期セメスターに履修)のなかで活用されてきました(平成14年度総入学者2556名中ログインした学生2512名)。そこで受講生はユーザ名(学生証番号改@students.chiba-u.ac.jp)およびパスワードを交付され、教育システムにアクセスします。2年次以降にも教育システムを利用したい学生は申請をして、そのユーザ名とパスワードを継続して利用することができました。しかし、逆な言い方をすれば、「情報処理」を履修するまでは利用できない、年度ごとに継続利用の申請をしなければ利用できない、ということでもありました。メール・システムを利用する学生が必ずしも多くなかった理由はこの手続き上の煩わしさが第一の理由だと思われますが、そのほかの理由には、
  1. 携帯電話の利用者が増え、友人どうしの情報交換には携帯電話を使う、
  2. 自前のパソコンをもつ学生が増え、これらの学生はプロバイダを通して電子メールの交換をする、
  3. 教育システムでは学内の端末またはpop接続された学内のPCからしか電子メールの送受信ができない(学外への転送は可能)、
  4. UNIX OSを使用する教育システムの電子メールの送受信の方法が、Windows系のメールソフトに比べると「面倒」である、たとえば、日本語変換の方法が違う、添付ファイルが開けない、等、
  5. 大学側からこのメール・システムを利用した情報が流れていないため、アクセスする必要性がない
といったことが考えられます。
 このたび、全学生が入学時からユーザ名とパスワードをもつことになります。その上で、第5の点が改善されるなら、学部学生のメール利用者は100パーセントに達するに違いありません。大学、学部、学科、講座、研究室等から、教務関係、催し物、学生生活に関する情報がこのメール・システムを通して流されることを期待したいと思います。また、学生のあいだでも、クラブや同好会等の会員の(電子メール)アドレス帳が利用される状況も生まれてくるであろうと期待されます。
 今回の改善によって第3の問題が解消されます。すなわち、今後は通信ソフトSSHを経由することによって教育システム外の自宅や研究室のPC上でメールソフトを使って電子メールの送受信が可能になります。それは、第2の現実に対する対応策でもあります。また、これによって第4のUNIX上の操作を必要としない通信方法が提供されることになります。さらに言えば、「転送」の設定をすることによって、教育システムにその都度アクセスしなくても電子メールの送受信ができるようになります。第1の「携帯電話」にも@students宛の電子メールを転送することができますから、電子メールを読むことができますが、大きなメールや添付ファイルなどをどうするかは、携帯電話の今後の開発にかかわる問題です。

○ 新システムへの移行 ― ユーザ名と初期パスワード ―

 新入生に対して、ユーザ名と初期パスワードを発行するだけなら、それほどの面倒はありません。問題は、2年次以降の学生で、現在教育システムを利用しており、したがって、独自のパスワードを使用している学生や教育システムを利用しておらず、ましてやパスワードなど忘れてしまった学生に対して新システムへの移行をどうするか、ということです。そこで、全学の学生に対して次のような措置をとることになりました。すなわち、使用中の学生証番号をもとに作られたユーザ名は継承する。パスワードは、新入生だけでなく、2年次以上の現在の利用者を含む全学生に、新しい初期パスワードを4月当初に発行するというものです。この措置によって特に配慮すべきは、現在利用中の学生たちですが、この人たちにはログイン画面を通して注意を喚起するメッセージを送るなどの方策がとられます。
 また、初期パスワードのままでは教育システムkeyakiに接続した端末からしか使えないことになっていますので、学生には初期パスワードの変更を早期に行うようアピールしていきたいと考えています。初期パスワードの変更や電子メールの送受信の方法は別に発行配布されるリーフレット『学生のための利用案内 メール・Web・研究』で紹介されています。

○ 学生用メール・システムの主な変更点

 今回の改善の技術的な部分について簡単に述べておきます。右のシステム構成図にみられるような形で教育システム外のパソコンから電子メールを送受信することを可能にするために、次のような作業が行われました。
  1. ネットワーク支援システムterraの容量の拡大(総容量16.8GB x 3台 +36.4GB)。
  2. Windows系PCが広く利用されることを考慮し、ウィルスチェックサーバを新設。
  3. terraでは、メールデーモンとして、MTAを2個インストール。1つ目のMTAはsmtp接続用として、2つ目のMTAは配信用として使用。
  4. Opensshを最新バージョンに更改。
  5. ユーザ認証なしにメールの送信を行えないようにするため、また、外部から電子メールを送信・取得する際にパスワードを暗号化するため、外部からの電子メールの送信・取得はSSHのフォワーディング経由で行うよう設定。
 クライアントPC、すなわち、自宅などのパソコンから教育用システムの電子メール送受信を利用するために必要な通信ソフトSSHの取得と設定の仕方は、
http://www.students.chiba-u.ac.jp/system/popssh.pdf
に詳しく紹介されています。

ホームページのリニューアル

 総合メディア基盤センターのホームページ(URL : http://www.imit.chiba-u.jp/)が装いも新たに公開されています。セキュリティ情報、ギガネット、統合メールシステム、その他全学のネットワークに関する情報を提供するとともに。<教育用システム>、<研究用システム>に関する緊急のニュース等もお知らせしています。
どうかご利用ください。

総合メディア基盤センター研究部門紹介(2)

情報メディア教育研究部門


教授  井宮 淳

井宮教授  本部門は、情報メディアに関する研究と、その成果の教育への移植を中心に研究を行っている。
 教授の井宮は現在、国立情報学研究所と併任している。
 もともと、工学部情報工学科(現、情報画像工学科)に所属し人工知能の中の画像理解とロボットビジョンを例に、幾何情報処理を研究してきた。
 現在、ロボットを動く幾何物体として捉え、幾何情報処理の立場からロボットビジョンを再構築している。
 ここで、ロボットが見る世界、ロボットの行動に関する研究が、人間が情報メディアから獲得する情報に基づいて行動する規範のモデルとして考えることができるらしいことがわかってきた。
 メディア処理の教育への活用と、ロボットの行動計画という一見もっとも反対側にあるような課題が意外と関連があることがわかってきたのである。
 現在、大学院学生の研究テーマとして、具体的には、テレプレゼンスに利用できる高精彩全方位画像の計測、変換、伝送に関する研究、ロボットの視点と、人間の視点を融合する研究をおこなっている。これらを近い将来、教育機器にも活用できることを目指した研究を行っている。

助教授  今泉 貴史

今泉助教授  今泉は属性文法に関する研究をしている。特に、Ordered属性文法と呼ばれるクラスを拡張する研究、および、同時評価可能と呼ばれるクラスに関する研究を行っている。
 属性文法は、計算機言語の意味記述のために導入された形式的体系であり、以来、特にコンパイラの記述とその自動生成に関する研究が進められてきた。属性文法の基本的な考え方は、構文解析した結果として得られる構文木の上に属性を貼り付け、複数の属性間の関係を満たすよう属性計算を行うものであり、その応用は単にコンパイラに限定されるわけではなく、木構造を持つものに対して何らかの操作を施す場合には応用可能である。
 効率のよい属性評価器を作る上で、属性の評価順序を静的に決定できるクラスが有用であるが、多項式時間でこれを決定できるクラスとしてOrdered属性文法が知られている。しかしこのクラスの属性文法を実用のプログラムに適用すると、3型循環と呼ばれる循環性が生じ、属性の評価順序を決定できない場合が多い。この問題を解決するために、名取、権藤らと新しい属性文法のクラスであるOAG*を提案している。
 また、構文解析と同時に属性評価が可能である同時評価属性文法では、構文解析中に左文脈に依存した属性値を利用できるため、左文脈に依存した構文解析を行うことが可能となる。現在、左文脈に依存した構文解析を行う際に、より広いクラスの文法を扱えるように研究を進めている。
 最近では、属性文法を計算モデルとした言語を開発し、その適用分野として計算機やネットワークの管理作業を扱う研究も行っている。その成果としては、ファイアウォールを構築する際のアクセスリストの記述をより高級な言語で行うシステムや、公衆アクセスネットワークを利用者や提供者にとって安全なネットワークとして構築するシステムなどがある。

助手  酒井 智弥

酒井助手  酒井は自然電磁波の逆問題に関する研究をしている。 特に,雷放電や磁気圏波動等の自然電磁波の発生,伝搬機構や 電離圏,磁気圏プラズマの動態解析において重要な技術である 波動の伝搬路推定,到来方向探知法を開発してきた。 自然電磁波の観測から複雑な超高層物理現象の解明に十分な情報を 得ることは困難であるが,中でも特に悪条件である地上観測については, 電離層透過領域を捉える波動分布関数推定法や分解能の高いMUSIC法を応用し, 大地電離層間伝搬効果,電離層透過過程,推定法の解の逆モデル依存性を 考慮することで,より詳細な波動現象を把握できる。 これまでは,中低緯度の磁気圏を伝搬する超長波を解析し, 磁気脈動に起因すると思われる磁気圏ダクトの変動を捉えることに成功している。
 現在は,方向探知や像合成技術等を体系づける逆問題一般論を基に, 視覚情報処理分野における局所構造識別や因子分析に関する研究も手がけている。 また,当センターにおいてはe-Learningの基盤整備の一環として Webベースの学習支援システムの導入,実用化に関する調査を進めている。 遠隔学習や生涯教育の環境構築,普及は情報メディア教育研究における 重要な課題のひとつであり,本学の教育基盤ネットワークの開発および 利用推進効果を期待している。


第二回IMIT研究会開催

 平成15年3月18日、総合メディア基盤センター会議室で第2回IMIT研究会が若手研究者の研究発表を中心に行われ、活発な議論がかわされた。テーマおよび発表者は次の通り。

テーマ発表者
「RSA型多重署名方式の安全性について」自然科学研究科博士後期課程1年 河内恵
「薬物ー蛋白間の結合評価システムの開発」医学薬学教育部修士課程1年 佐藤 慶治
「尺度空間解析による多次元物体の形状理解」当センター助手 酒井 智弥
「画像圧縮に利用できる非線形超解像について」自然科学研究科修士課程2年 鳥居秋彦
「形状圧縮のための離散図形の輪郭復元について」自然科学研究科修士課程1年 Truong Kie Linh
「ボトルネックリンク速度推定ツールの提案と精度検証」工学部都市環境システム学科4年 八木敬宏
「マルチプロトコルネットワークにおける
アクセスリスト生成システム」
自然科学研究科修士課程2年 谷津 文平
「モバイル環境での屋外複合現実感技術の実現について」当センター教授 全 へい東


総合メディア基盤センター行事表(2002.4〜2003.3)

第1回総合メディア基盤センター連絡会議 4月26日(金)
第2回総合メディア基盤センター連絡会議 5月20日(月)
第1回総合メディア基盤センター運用専門委員会 7月 4日(木)
第3回総合メディア基盤センター連絡会議 7月10日(水)
第1回総合メディア基盤センター運営委員会 7月24日(水)
平成14年度新教科「情報」教員講習会 8月 5日(月)〜 7日(水)
平成14年度新教科「情報」教員講習会 8月19日(月)〜20日(火)
平成14年度新教科「情報」教員講習会 8月22日(木)〜23日(金)
第4回総合メディア基盤センター連絡会議 9月 5日(木)
第2回総合メディア基盤センター運営委員会12月 6日(金)
第5回総合メディア基盤センター連絡会議12月16日(月)
第6回総合メディア基盤センター連絡会議 1月 7日(火)
第7回総合メディア基盤センター連絡会議 1月28日(火)
第8回総合メディア基盤センター連絡会議 2月 4日(火)
第9回総合メディア基盤センター連絡会議 2月24日(月)
第10回総合メディア基盤センター連絡会議 3月11日(火)
IMIT研究会 3月18日(火)


センター共同利用計算機の利用について

 総合メディア基盤センターでは、学内の教職員および学部と大学院の学生に対して研究と教育の ためのセンターの計算機利用をよびかけています。冒頭の記事にありますように、2003年4月から学部学生のネットワーク環境が改善され、すべての学部学生にユーザ名とパスワードが交付されます。これによって、学部の学生は、入学と同時に <教育用システム>の計算機の利用登録がされ、卒業まで利用することができます。学部学生、大学院生や教職員が<研究用システム>の高速演算サーバcuhasやアプリケーションサーバcuapsを利用するには、研究利用申請が必要です。その際、研究グループの代表の方の支払い責任者登録があらかじめなされていなければなりません。年度継続の利用申請の手続きは3月ですが、新規の利用申請は随時受け付けています。 詳しくは、下記の URL をご覧下さい。

http://www.imit.chiba-u.jp/services/ed_rsch/


Newsletter投稿記事募集について

 総合メディア基盤センターではニュースレターに掲載する記事を募集します。広い意味で情報および計算機環境に関することであれば特に内容を限定しません。 どしどしご応募下さい。
 執筆要領については広報編集委員会委員長にご相談下さい。

editor@imit.chiba-u.ac.jp


Home > ニュースレター > Vol.2 No.1